オランダ美術館事情

仕事でオランダに行ってまいりました。
このコロナ禍で海外?たしかに海外に行くような状況ではないのですが、どうしても行かざるを得ない場合もあります。当館では来年2月に開催予定の「ゴッホ展」。第一会場の東京都美術館では9月18日からすでに始まっているのですが、作品はすべてオランダの美術館から出品されています。通常であれば所有者のオランダの美術館の担当者が、作品の日本への輸送に付き添うのですが、このコロナ禍で来日することができません。そこでやむなく日本から作品を受け取りに行くことになった次第です。3泊5日という、ほとんどトンボ返りの出張になりました。

日本を発ったのは9月4日。成田発アムステルダム行きの飛行機には、翌日が最終日のパラリンピックの選手が多数乗っていました。オランダはもとより、スイス、ポーランド、クロアチア、そしてなぜか南米のエクアドルのチームも一緒でしたが、それでも機内はせいぜい2割程度の混み具合。おかげで三つの椅子を占拠して、横になって眠りながらアムステルダムに到着(帰りの便はさらに少なく1割程度でした)。

日本はまだ残暑厳しい日々が続いていましたが、オランダは早くも初秋。日中の気温が20℃程度と快適なこともあり、公園には大勢の人が。

写真1

この公園の周囲には美術館が3つありますが、写真右奥の古めかしい建物が国立美術館、中央の半円形の建物は黒川紀章氏設計のゴッホ美術館の新館。そして左手のモダンな建物が改装なった市立美術館です。公園を歩いていてすぐに気がつくのは、誰もマスクを着けていないことです。30分ほど周囲を歩いたのですが、マスクを着用していたのはせいぜい数名。あとで買い物をしたスーパーでも同様の状況でした。

それは美術館でも同様で、館内でもマスクを着用している人はごく僅か。

写真2

入口で係員に「マスクを着けた方がいいですか?」と聞くと「必要ありません」との返事。日本の多くの美術館では必須の体温測定も手指消毒も全くありません。それでも入館は事前予約制なので、館内はそれほど混んではいません。

ただ、この写真の奥にはレンブラントの代表作《夜警》が展示されており、その周りは大勢の人だかりで密な状態。展示室の床には適切な距離をとるように大きなシールが貼られているのですが、係員も含めて誰も気にしている様子はありません。

写真3 写真4

こちらは市立美術館で開催中のブルース・ナウマンの展示室の入口。一番奥のシールには「MAX30」の文字が見えますが、これは「定員30名」ということで、「密を避けなさい」という指示のようです。

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こちらはアムステルダムから車で1時間ほど南へ行ったクレラー=ミュラー美術館の展示室。展示室の中央にロープが張られ、強制動線で必ず一方向に歩いて鑑賞するようになっていました。

写真6

こちらもマスクを着けている人はほとんど皆無。コロナ対策にそれなりに気を遣っているとはいうものの、日本の状況とは雲泥の差です。オランダではすでに国民の90%以上が2度のワクチン接種を終えているそうで、「もう大丈夫」気分が蔓延しているように感じましたが、本当にそうなのでしょうか? ワクチン接種が先行していた国々で再び感染者数増大のニュースが聞こえてくる昨今、まだまだ気を緩める状況とはいえそうにありません。

さて、クレラー=ミュラー美術館のコレクションを中心とするゴッホ展が、来年2月に名古屋市美術館で開催予定です。「糸杉シリーズ」の最後の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》(下図)や、ゴッホとゴーギャンが共同生活を送った《黄色い家》など代表作が目白押しです。どうぞご期待ください。

ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年、クレラー=ミュラー美術館

愛知県の緊急事態宣言は9月30日で解除され、厳重警戒宣言に移行しました。
皆さま方には、引き続き感染防止対策の徹底をお願いします。

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