出張でひさしぶりにパリに行ってきました。6月だというのに、小雨の降るパリは肌寒く、街行く人の中にはコートを着ている人も珍しくありません。地元の人に聞くと、こんな6月は記憶に無い、ということで、いずこも同じ異常気象のようです。
パリといえばルーヴル。というわけで数年ぶりに訪れると、相変わらず大勢の観光客でごった返していますが、なにやら見慣れぬものが目に飛び込んできました。ナポレオンを描いたダヴィッドの超大作の前に柵が見えます。
ルーヴル美術館、グランド・ギャラリー
よくよく見ると、19世紀フランス美術の大作を並べたルーヴルのハイライトともいえるこのグランド・ギャラリーの至るところに柵が置かれていました。
いつの間にか柵が
以前はこんなもの無かったのになあ、と思いつつ、管理する側に立てばそれもまた止む無しかと、時代の移ろいを感じつつ部屋を後にしました。
帰国する直前、思い立ってペール・ラシェーズ墓地へ。ここを訪れるのは20年ぶりぐらいでしょうか。先年開催した「モディリアーニ展」のお礼にと、イタリアの画家が眠る場所を探したのですが、何せ40ヘクタール以上もある広大な敷地。15分ほど歩き回ってようやく探し当てました。
モディリアーニのお墓
しかし、なんだか長い間手入れがされていないようで、墓石は薄汚れた感じ。モディリアーニと妻エビュテルヌの墓碑銘のあたりだけが手荒く拭き取られていて、一層侘しさを募らせます。
悲しい気分で墓地の出口を目指していると、ばったりとローランサンのお墓に出会いました。
ローランサンのお墓
こちらはエレガントな画家の作風にぴったりの、シンプルながらお洒落なデザインの墓石でした。
と、ふと隣に目をやると、いかにも斬新なデザインのお墓が。
隣のお墓
墓石の上に十字架をあしらったデザインは頻繁に目にするのですが、ここでは植物が十字架を形作っています。よくよく見れば、墓石そのものも、荒く削り取っただけで、仕上げがされておらず、今風に言えばとてもエコロジカルな印象を与える、それでいて強いこだわりを感じさせるお墓でした。
投稿者:F