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名古屋市美術館 Nogoya City Art Museum

東山動物園猛獣画廊壁画修復プロジェクト 太田三郎《東山動物園猛獣画廊壁画No.1》「北極・南極」の修復報告

2022年度に、太田三郎作《東山動物園猛獣画廊壁画No.1》「北極・南極」の修復を行いました。修復前後の画像とともにその工程を報告します。詳しい報告書は現在開催している「猛獣画廊壁画修復プロジェクト」の展示室にてご覧いただけます。また、「猛獣画廊壁画修復プロジェクト」については、本ウェブサイトの特設ページをご覧ください。
※画像およびテキストの無断転載禁止

修復前・後の作品

修復前
修復後
部分1【修復前】 茶色の垂れた汚れが見られます
部分1【修復後】
部分2【修復前】 キャンヴァスが破れています
部分2【修復後】
部分3【修復前】 絵具の亀裂や欠損が見られます
部分3【修復後】
部分4【修復前】 水が垂れた跡が見られます
部分4【修復後】

修復の流れ

1 写真撮影(処置前)・状態調査

2 画面クリーニング(写真1)
浄水を含ませた綿棒を優しく転がし汚れをとりました。

写真1
〈クリーニング途中〉四角く、画面が暗く見えるところはクリーニング前

3 額の取り外し

4 キャンヴァスの取り外し

5 浮き上がり接着(写真2)
専用の道具を使って、絵具がキャンヴァスから浮き上がっている箇所をにかわ(接着剤)で押さえました。

写真2

6 裏面清掃・殺菌
埃や虫糞を掃除機で吸引しながら除去し、エタノール水溶液で殺菌しました。

7 破れ・穴の繕い(写真3)
破れには破れの形に合わせたキャンヴァスを裏面から貼りました。

写真3

8 張りしろの新調

9 変形修正・仮枠(写真4)
新調した張りしろを仮枠に固定し、キャンヴァスの変形を修正しました。

写真4

10 木枠清掃・補強

11 充填・整形(写真5)
絵具の欠損箇所には充填剤を入れ、布目や筆あとを再現しました。

写真5

12 水彩補彩

13 ワニス塗布

14 アクリル補彩
充填箇所に修復用のアクリル絵具で補彩をしました。またクリーニングで除去できなかった汚れ部分を、鑑賞に支障の出ない範囲で慎重に絵具を載せていきました。

15 ワニス噴霧

16 額の調整・取り付け

17 写真撮影(処置後)

修復:愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所 猛獣画廊壁画修復チーム
場所:名古屋市美術館常設展示室3

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